万病は身体の歪みを正すことで治すことができます!

操体の原理

操体の原理

人間の身体は、歪みやすいものです。そして、その歪みを正すことによって、疾患や症状にかかわらず、治癒に向かいます。また、その歪みを正す方法も、問題箇所を揉んだり叩いたり、押し込んだりする従来のマッサージやカイロプラクティック、東洋医学で言えば、鍼や灸といった従来の手技療法に加えて、最新のコンピューター制御による様々な物理療法など、様々あることは周知の事実です。

  1. 判断の基準


    操体はまったく新しいコンセプトでその身体の歪みを正す方法を提供します。それは、身体の原始感覚に基づいて、その人自身が自分が『気持ちが良い』と思う方向に身体を動かすことです。この場合、他の療法と違う点は、判断する基準は自分自身にあるということです。専門家が外部から判断基準を押し付けることはありません。自分の健康は自分で取り戻そうという自立自療の哲学が根底にあります。


    もともと人間には、祖先からの膨大な知恵のデータベースを潜在意識の中に持っています。原始感覚とは、人間が生き続けるために、自分が動こうとする方向が正しいか(生き残れるか)、正しくないか(生き残れないか)を瞬時に判断する能力であるともいえます。イエスの場合は、感覚は『快』として、ノーの場合は、『不快』として感じます。

  2. 検査法


    人間の持つ歪みとは左右対称に縦横無尽に走る骨格筋の左右のバランスの崩れです。けっして骨そのものに歪みがあるわけではありません。同じ背骨についている左右一対の筋肉のうち、片方の筋肉だけが使いすぎて疲労から緊張が強くなるとどうでしょうか。左右のバランスが崩れ、骨は緊張の強い筋の方に引っ張られてしまいます。積み重なると、全体の骨格のバランスが崩れ、立った時に肩の高さが違ったりします。


    しかし、人間は自分から好んで身体を歪ます人はおりません。知らず知らずのうちに、無意識についた癖などが原因で、長い時間をかけて身体は歪みます。知らず知らずに偏った部分の筋緊張が慢性化するのです。身体のどの部分にアンバランスな筋緊張があるのでしょうか?操体では、全身の各関節の動きを網羅した『動診』で、明らかにすることが出来ます。


    『動診』とは、動いた時に身体のどの部分に歪みがあるかを感覚によって調べる検査法です。仰向けで9種類、うつ伏せで9種類、全部で18種類です。それぞれの動診が左右1対の検査で、どちらの方向がより『快』に近いかを調べて、記録します。例えば、膝を右に倒すとスムーズに倒れるが、左に倒すと腰がつっぱって痛い場合は、右方向がより『快』に近いと判断し、記録します。その人の持つ歪みを動診によって、明らかにするわけです。

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これは、画期的な検査法です。要するに判断基準は、その人自身の原始感覚を使うわけですから、先程も話したように、自分自身の歪みを自分自身で診断できるわけです。ストレスフルな生活によってこの感覚が鈍くなっている人は、この検査によって再度自分の原始感覚を取り戻すことも可能です。一石二鳥です。

  1. 診断法


    この動いた時の感覚の左右差は、CHART1空欄の動きやすい方にチェックを入れます。この表のR.Lが、バラバラに並んでいますが、これは意味があります。


    かりに指1本を動かす場合において、内側に動かすにはその動作に関連した内側の筋肉が収縮し、それに続く腱が引っ張られる・・・と一般には説明されます。そこで、その原理を使って、例えば、ロボットの人工腕を作ろうとしてもうまく行きません。よくよく考えてみると、内側の筋肉をたんに収縮させるだけではなく、他方で外側の筋肉を適切にコントロールされた力でブレーキをかけながらゆるめなければ、内側に曲げる方向にかかる慣性モーメントを止めることはできません。しかも、さらに掌や前腕、上腕を指の慣性モーメントに振られないように固定もしなければなりません。そういう全身の平衡をとる力学的な一連の作用が、単純な動作ひとつひとつとっても行われています。


    ある動作には、想像もできないほど全身にわたって張り巡らされている錯綜した一群の筋肉が複合して作動します。これを操体では『連動』ということばを使います。そして、長年の経験から、この『連動』には、ある程度法則があることが、わかってきました。特に、立位や座位という自由度の高い場合は、複雑ですが、寝た姿勢では、身体のかなりの部分が地面に接地している制限された姿勢であるため、『連動』を2つのカテゴリーにほぼ確実に法則化することに成功しました。『連動の法則』とは、言い換えると、ある動きを起こしたときに、連なって機能的に動く体の仕組みです。


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    このチャートでは、同じカテゴリーを縦のラインに揃えてあります。例えば、仰向けで首を右に捻り回す動きと左の踵を押し伸ばす動きは、同じカテゴリーです。うつぶせで、膝を揃えて右に倒す動きと、左の膝を横から引き上げる動きは同じカテゴリーです。


    このカテゴリー分けを使って、身体の歪みを診断し、治療をする指針を作ります。理想的な身体とは、どの関節を動かしてみても、左右にそれぞれ均等に痛みや突っ張りなく動く場合を指します。その柔軟度は、年齢や性別、運動する度合いなどで個人差がありますが、左右に動かした場合に、スムーズに動き違和感なく感覚に違いが感じられないこと、が重要なポイントになります。


    しかし、そのような理想的なバランスを四六時中保っている人は皆無に等しく、人それぞれ、何らかの身体的歪みを抱えていますのが現状です。例えば、先の例ですと、首を右に捻りやすい場合、左踵を押し伸ばす連動が起きやすいはずなのに、『動診』をしてみると右の踵の方が押し伸ばしやすい場合、その人の身体は『連動の法則』に従って機能的に働いていないことになります。カテゴリーで言うと反対側になります。ということは、首から踵に至るどこかの筋肉のネットワークがうまく働いていないわけです。


    このように、『連動の法則』に従ったカテゴリー分けを総合的に判断することによって、その人の歪みが浮き彫りにされることになります。ただし、大概の人は動診結果でそれぞれのカテゴリーに、同数程度やりやすい方向が存在します。それは、片方のカテゴリーの歪みが顕著になり、バランスを崩す前に反対のカテゴリーの動きで歪みを打ち消そうとするからです。

  2. 操法


    『動診』によって動きやすい方向を見つけた後に、その感覚の左右差、言い換えるとその動きに潜む歪みを解消する方法を、『操法』と呼びます。


    それでは、どのように歪みを正していくのでしょうか?ポイントは2つあります。

    • (ア)原始感覚に基づいて『気持ちの良い』方に動く
    • (イ)無意識のうちに歪んだ身体は、できるだけ無意識に『気持ち良く』動くことで矯正される。


      すでに、『動診』でチェックした方向は、『気持ちの良い』方向でした。ですから(ア)のポイントに従って単純にこの方向に動かすだけでも、疲労状態にある緊張した筋肉は緩み、全身の左右のバランスは取れていきます。


      例えば、首を左右に捻る『動診』で右には倒しやすいが、左に倒すと首筋に痛みが走るような場合、誰かに首を支えてもらって、ゆっくりと『気持ちよい』程度に右の方に何回か倒すと、左に倒す時の痛みが軽減します。(この手技は専門家による手助けが必要です。一人では試さないで下さい)


      なぜ、この方法で筋緊張が緩むのかという科学的な説明は、完璧には解明されていません。しかし、PNF『Proprioceptive Neuromuscular Facilitation』(自己受容的神経筋促通)という方法が、リハビリテーション医学にあります。この中でそのメカニズムについて、主に次のように説明されています。筋は、神経の活動で常に一定レベルの緊張をしています。この緊張を低めるために、脊髄反射を利用します。まず、筋が強い力を発揮すると、腱にある「ゴルジ器官」が力を感知し、脊髄の運動神経に抑制をかけるので、収縮後には筋の緊張も低くなると予測されます。この理論はCR(Contact Relax)というテクニックに反映されています。


      しかし、このPNFでは、どの程度の力でその筋肉に抵抗をするかとか、どの程度の力で動いてもらうとかという判断はすべてインストラクター側に委ねられています。もし、『気持ちよい』という判断を基にクライアント側がイニシアチブを取れば、操体になります。この大きな違いは、操体では、本人の感覚を大前提にすることで、動きをコントロールすることでしょうか。これによって操体では、強い外力による筋ダメージを避けることができるメリットがあります。また、操体ではベテランのインストラクターでなくても、ある程度治療効果を上げることができます。というのも、インストラクターの役割は、身体を動かす方向に若干抵抗を与えて、クライアントの感覚をよりわかりやすくすることだからです。


      しかし、上記のように『気持ち良く』動かしただけでは、なかなか良くならない。操体は効かないのではないか!いろいろな操体の本を読んで試してみた方々がよく口にする疑問です。


      そうではないのです。ここで、2つ目の(イ)のポイントを思い出して見ましょう。上記の方法は、どうしても動きが意識的になりがちです。つまり、無意識に壊れた身体は、意識的に矯正するのは難しいのです。確かにやってみると四肢などの身体の末端の部分の歪みや、そんなにひどくない歪みは、上記の方法でもかなり軽減できます。また、操者がベテランで、『気持ちよさ』を自然に引き出せる場合などもそうです。


      しかし、無意識のうちに壊れた身体を矯正するには、無意識のうちに『気持ちの良い』動きを引き出すのが一番早いのです。その鍵が『連動の法則』なのです。


      例えば、先程の首の例を取ってみましょう。右に倒すのは楽だけど、左に倒すと首筋に痛みがある場合、踵を押し伸ばす動きを『動診』してみると、右の方がやりやすいという結果がでました。カテゴリーで分けると首を右に倒す動きと、右の踵を押し伸ばす動きは、明らかに『連動の法則』上、反対のカテゴリーに属します。


      この人が、やりやすい右の踵を押し伸ばす操法を何回かするとしましょう。この動きによって、本人が気がつかない間に痛い筈の左側に首を動かすことになります。なぜなら、『連動の法則』によって、連なって機能的に動く体の仕組みが働くからです。無意識のうちに痛いはずの方向に、『気持ち良く』首を動かした結果、首の筋バランスがそろって、左に首を倒す時の痛みはなくなります。

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本人は、右の踵を押し伸ばすという、あくまでもやりやすい動きをゆっくり原始感覚にしたがって行うだけですが、この動きによって『連動の法則』上の反対のカテゴリーの問題が、どんどん解決していきます。『動診』では、大概の人で、それぞれのカテゴリー上に同数程度の、やりやすい方向が記録されることは、先に述べました。


ですから、セルフエクササイズなどでは、あまり深いことを考えずに、やりやすい方向に『気持ち良く』操法を行うことで『連動の法則』が働いて、反対側のカテゴリーに記録されたいろいろな歪みが矯正されます。ですが、激しい痛みや、ひどい歪みのあるクライアントをインストラクターがトリートメントする場合などは、この『連動の法則』を確実に理解することによって、効率的にしかも短時間で、患者の愁訴を取り除くことが可能になります。

  1. 終わりに


    残念ながら、『連動の法則』を使った2つ目の現象を、科学的に説明できる研究や文献はありません。なぜならこの『連動の法則』そのものが、新しい概念で今まで誰も、気がつかなかった新しい分野だからです。


    しかし、Sotai Canadaでは、この『連動の法則』のカテゴリー分けや、『動診』結果をどのように分析、診断を行い、『操法』をいかに効率的に組み立てていくかという方法論については、確固たる理論をすでに確立済みです。あとは、ロボット工学やスポーツ生理学などのアカデミックな研究者の方々に、この操体の原理をぜひ研究テーマとして取り上げていただきたいと思っております。そして、この『連動の法則』の科学的実証を切に望みます。

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